コラム

2025-08-21 実家じまい・家じまいについて解説!あなたの実家はどうする?

 
「実家じまい」とは、一般的に親が他界したり施設に入った後、親が住んでいた住宅を整理・処分することを指します。高齢化と人口減少が進む現代社会において、さまざまな理由から「実家じまい」を検討する人は増え続けています。一方、「家じまい」とは居住中の家を整理し、売却や引き渡しを行うことで、老後の生活をシンプルにするための選択です。子どもが独立したあとや、高齢になり家の管理が難しくなったタイミングで検討される方が多いです。
 
2025年、「団塊の世代」約800万人全員が後期高齢者となり、今後多くの相続が発生することが予想されています。相続資産の中でも特に複雑な手続きを要するのが「実家」の相続。実家を維持するか、売却や解体するかといった決断を、いつかは下さなければいけません。長年住み慣れた家を手放すことは、物理的に処分するだけではなく、その家に詰まった思い出など、感情的な整理という側面もあるため難しく、後回しにしてしまいがちです。しかし、維持管理の手間や費用、空き家の問題を考えると、「実家じまい」を選択する人が増えているのが最近の風潮です。

◎いつ始める?実家じまいのタイミング

実家じまいには遺品整理や不用品処分から各種手続き、不動産売却まで多くの手順があり、時間も手間もかかる作業ですので、計画的に行う必要があります。兄弟や親族との話し合いも必要ですので、突発的に始めるのではなく、きちんと手順を踏んで行うのが良いでしょう。
 
一般的に、実家じまいを考え始めるのは以下のようなきっかけが多いといわれています。
・親が高齢者施設や介護施設に入居した、あるいは長期入院となった
・親が亡くなり相続が発生した
・遠方に転居し、実家の管理が難しくなった
・固定資産税や維持費が負担になってきた
・空き家として近所からの苦情や問題が増え始めた
これらのような状況が一つでもあれば、早めに対策や検討を始めることをお勧めします。

◎実家じまいを早めに始めたほうが良い理由


生まれ育った、思い出深い実家を手放すのは寂しいものです。また、親が施設や病院などでご健在の場合は「いつか家に帰りたい」という願望がある方も多く、なかなか踏み切れないというケースも多いでしょう。しかし、実家じまいをするのであれば、先延ばしにせずできるだけ早めに行動することをおすすめします。以下にその理由を解説します。
 
〇親の状態によっては実家が売却できなくなる
不動産の売却には所有者の意思が必須です。親が実家の所有者のまま施設や入院生活に入ってしまい、万が一認知症などによって意思確認ができなくなると、実家を売却できなくなります。先延ばしにしているあいだに親の状態が急変するというケースも珍しくありません。あまり考えたくない問題かもしれませんが、親が健康なうちに意思を確認するなど、早めに両親と相談しておきましょう。
 
〇空き家は傷みが早い
既に実家に誰も住んでおらず空き家状態の場合、長期間窓や戸を閉め切ったままにしておくと、建物内の湿度が上昇し、カビが発生します。また排水管やガス管も長期的に使用しなければ劣化しますし、シロアリ等の害虫によって床下や壁などの損傷が進む恐れもあります。家が傷んでしまってからでは、売却したくても買い手がつきません。傷み具合によっては、においや倒壊の危険などで、近隣に迷惑をかけてしまう心配もあります。できるだけ家の劣化が少ないうちに対策する必要があります。
 
〇マンションの場合は、管理費や修繕積立金を支払い続ける必要がある
実家がマンションの場合、たとえ誰も住んでいなくても管理費や修繕積立金は所有しているかぎり支払い続ける必要があります。また、残高不足で立て続けに引き落とされず、続けて滞納してしまった場合は、マンションを差し押さえられるおそれがあります。実家がマンションの場合は、特に早く方針を決め行動しておいたほうがよいでしょう。

◎実家じまいの進め方



実家じまいには、さまざまな手順や手続きがありますが、最初の段階でしっかりと方針を決め現状を確認してから進める必要があります。具体的には以下のような手順で進めます。
 
・家族・兄弟と方針を共有し、スケジュールを立てる
まずは家族、特に兄弟間で誰が主に進めるか、どの方向性をとるか(売却・賃貸・解体など)を話し合います。代表者を決め、感情的な部分も含めて整理する機会にしましょう。
 
・親の転居先を決める
親が健在の間に実家じまい(家じまい)を行う場合は、同居や新居への引っ越し等、親の新しい生活拠点を決める必要があります。親の希望や家族構成、経済状況のほか、健康状態なども考慮し、長期的な視点で決定しましょう。
 
・家の中を片づける
物を分類し、残すもの・譲るもの・処分するもの等に仕分けします。不用品や遺品の整理には時間も労力もかかります。専門業者に依頼する場合も考慮し、相場感を把握しておくと安心です。また、重要書類(権利証、保険証書、契約書など)は誤って捨てないよう慎重に探します。
 
・不動産の現状を確認し、書類をそろえる
相続登記の有無、名義、権利関係を明確にします。固定資産評価証明書や登記簿謄本の取得、不動産査定を行い、複数業者から見積もりを取得して比較検討します。税制上の優遇(空き家特例など)もこの段階で確認すべきです。
 
・処分や活用の方法を選び、手続きを進める
売却(買取や仲介)、賃貸物件としての活用、解体による更地化、空き家バンクの活用、自治体や団体への寄付など、複数の選択肢から最適な方法を選びます。それぞれに必要な手続き(契約、登録、補助申請など)を実行します。
 

◎実家じまい経験者への調査結果

ここで、2024年に株式会社すむたすが行った、「実家じまい」経験者調査の結果を抜粋してご紹介します。実際に、どういうタイミングで実家じまいを考え始めたか、苦労したことは何か、事前にやっておけばよかったことは何か等、これから実家じまいをお考えの方にも役に立つ情報ではないかと思います。
 
〇実家の処分についての話し合い
実家の処分方針について、関係者間で話し合ったのは「親の死後」もしくは施設入居等「何かあってから」という方がほとんどでした。親の生前に関係者間で話ができていた方は全体の27.5%。そのうち、「親の施設入居」「親の病気」等のきっかけなく会話を開始したのは13.3%(全体の3.6%)でした。親の生前に、特別なきっかけもなく話し合いを開始する難しさがあるのだと伺えます。


「どのようなタイミングで話を切り出したか」については、6割以上が、お盆など帰省時に対面で話し合いを開始しています。

〇実家の処分にあたり「苦労したこと」「事前にやっておけばよかったこと」
苦労したことのトップ3は「部屋の片付け」「法的な手続き」「不動産会社の選定」。実に約半数の方が「部屋の片付け」を選択しており、「途中で諦めて業者に依頼した」という方もいました。また3位になった「不動産会社の選定」では、地域・築年数等の条件から扱ってくれる不動産会社が見つからなかったケースや、信頼できる不動産会社を見つけることが難しかった、という声もありました。



事前にやっておけばよかったことのトップ3は「処分費の確認」「親と一緒に片付け」「売却価格の確認、必要な手続きの確認(同率3位)」でした。

 

◎まとめ

実家じまい・家じまいのタイミングや進め方等について解説しました。
実家じまい・家じまいは、単にモノを整理し家を手放す作業ではありません。そこには、家族の思い出や、財産管理、法的手続き、感情の整理など多くの課題があり、それらをひとつひとつ片づけていかなくてはなりません。できれば親が健在のうちに、家族間でしっかりと話し合い、方向性を共有することが大切です。
 
そして、信頼できる業者や専門家に相談することができれば、実務面の負担も大きく軽減されます。横浜ゼロ空き家管理では、空き家となってしまう期間のご実家の管理はもちろん、相続に関して相談できる行政書士のご紹介や、家の片付け・不用品処分のお手伝い、不動産売却や賃貸管理についてのご相談も承っております。費用の確認などお見積りだけでも、お気軽にお問い合わせください。